【概要】
シミター(Scimitar)はロミュラン帝国の属国であるレムスの戦艦。名目上はロミュラン帝国の戦艦ではあるが、一般的にはレムス・ウォーバード(Reman Warbird)と称され、他のロミュラン艦とは一線を画す存在である。
この戦艦の存在が明らかになったのは2379年のロミュラン政変におけるエンタープライズ号による遭遇・戦闘が初めてであり、それまでこの艦に関する情報は一切報告されなかった。おそらくは政変の中心人物であったレムス軍の総帥シンゾンの切り札として密かに建造されたものだと思われる。
同級艦は存在しないと思われ、実質的に当時のロミュラン帝国執政官シンゾンの専用旗艦であったようだ。
強力な武装
シミターの武装は驚異的である。ディスラプター・キャノン52基、光子魚雷ランチャー27門は空前絶後の重武装(重武装と言われるクリンゴンの巡洋戦艦でもキャノンは20基程度、魚雷ランチャーにいたっては3門程度である)で、これに遭遇したエンタープライズ号艦長のジャン=リュック・ピカード大佐は“She's a predator”(あれは猛獣だ)と驚嘆したほどだった。
しかし、この艦のもっとも驚異的な装備はセラロン放射装置である。このシミターは船体の「翼」にあたる部分を展開し、船そのものを巨大なセラロン放射装置とすることによって、一瞬にして生命体を殺傷するセラロン放射線を惑星規模で覆えるほどの広範囲に撒き散らすことができる。
セラロン放射線は2379年当時には実在すら確認できなかった未知の兵器であり、防御手段は皆無だった。当時としては絶対的な殲滅兵器と言ってよく、シミターは単艦で惑星規模の殺戮行為が可能な銀河で最も危険な戦艦であったと言っても過言ではない。
遮蔽機能
シミターに搭載された遮蔽装置は従来の遮蔽装置が抱えていた「遮蔽を解除しないと攻撃ができない」「高速ワープ中(ワープ6以上)は遮蔽能力が格段に落ちる」という弱点を克服したもので、当時の連邦の最先端の索敵技術をもってしても探知することはほぼ不可能だった。エンタープライズ号の機関主任で同艦で最も科学技術に精通していたラ=フォージ少佐も「シミターの遮蔽装置は完璧だ」と舌を巻いた。
エンタープライズ号はバッセン断層における戦いにおいてシミターに勝利はしたが、正攻法ではこの遮蔽装置を見破ることはできなかった。
【編者補足】
『ネメシス』に登場したレムスの戦艦です。映画の中ではそれほど重武装であるようには見えませんが、エンタープライズE+新型ロミュラン・ウォーバード3隻と戦ってもなお互角以上だったことを考えると、当時としてはずば抜けて強力な戦艦だったことは間違いありません。