【概要】
プロメテウス級は2374年のU.S.S.プロメテウスNX-59650の就役より始まる。
プロメテウス級は建造当時、宇宙艦隊が持つ最新鋭の設計技術を余すことなく投入した試作宇宙艦である。同級にはこれまで人類が遭遇した様々な脅威に対する、最新かつ最高の対抗策の具現化とも言える最新鋭艦で、再生式シールド、断熱被膜装甲の他、特徴的な攻撃システム多方向攻撃モード(multivector assault mode)を備える。
多方向攻撃モード
プロメテウス級の最大の特徴は多方向攻撃モードである。これは船体を3分割し、単艦でありながら敵をかく乱、包囲することができるという画期的なシステムであり、主に大型艦に対して使用することが想定されている。
3分割された船体を円滑に操船するためにプロメテウス級は操作系統の自動化をこれまでにないレベルまで引き上げた。そのため、プロメテウス級は、これよりも小型の船体であるイントレピッド級が乗員150名を必要とするのに対し、それよりも少ない141名が定員である。
分割された船体には特に人員が必要なことはなく、ブリッジから指令すれば自動的に敵を追尾するようになっている。
U.S.S.プロメテウス NX-59650
U.S.S.プロメテウス NX-59650はプロメテウス級の一番艦である。
2374年に就役した同艦は当時試作艦扱いでありサービスナンバーはNCCではなく試作艦を表すNXで59650の番号が割り振られた。
初のディープスペースミッションでは高度に自動化された同艦の操縦システムのテストのため、搭乗した人員は必要最低限の者しかいなかった。
しかし、この少ない人員での航行テストが災いし、プロメテウス級の情報を掴んだロミュラン帝国の諜報機関タル・シアーによる強奪作戦を容易にしてしまった。
搭乗員全員が殺害されロミュランに強奪されたプロメテウスはそのままロミュラン領域へ逃走を図ったが、連邦からの追撃を受けた。しかし、プロメテウスは追撃してきたネビュラ級宇宙艦(ギャラクシー級の簡易設計版)を多方向攻撃モードで撃破した。
これと同時期に、デルタ宇宙域に飛ばされていたU.S.S.ヴォイジャーから、ヴォイジャーのEMH(以下、ドクター)がエイリアンの中継ステーションを利用して同艦へデータ転送されていた。ドクターは同艦に搭載されていたEMHマークIIと共同してプロメテウス奪還作戦を実行。新システム艦の扱いに苦労したものの作戦は成功。この時、ロミュランから出撃したデイデリデクス級ウォーバード(全長約1000mの大型艦)を多方向攻撃モードで撃沈し、計らずも新攻撃システムの有用性を見せつけた(『スター・トレック:ヴォイジャー』第77話「プロメテウスの灯を求めて(Message in a Bottle)」)。
【編者補足】
プロメテウス級は上から見ると三角形の第一船体を持っており、イカのようにも見えます。連邦宇宙船としてはかなり角ばった外見で、正直なところ個人的にはあまりカッコよく思えません。
さて、同艦の最大の特徴、多方向攻撃モードですが、実際問題として艦の合体分離というのがどの程度有効なものでしょうか。
普通に考えて、分離してその攻撃力が3倍に跳ね上がるなら合体している状態は無駄が多いことになり、分離して3分の1になるならわざわざ敵前で弱体化することになります。もっとも、後者の場合は包囲攻撃をすることによってシールドを効率よく消耗させることができるというメリットはあると思われるので全くの弱体化とはいえないかもしれません。ただ、極限まで自動化した複雑なシステムはおそらく量産には向いていないと思われ、それならディファイアント級を3隻造った方がいいのではないかと思えてしまいます。
どちらにせよ分離合体というギミックはちょっとマンガ的でスタートレックらしからぬ(スタッフには日本のマンガアニメが好きな人が多いのでらしいといえばらしいかも…)宇宙船のような気がします。
ちなみに、『ネメシス』で昇進したライカーが任せられた艦U.S.S.タイタンは当初プロメテウス級と想定されていましたが、現在はルナ級(ソヴェリン級の簡易設計版)とするのが一般的な見解のようです。
-----登場作品-----
- 『スター・トレック:ヴォイジャー』(第77話「プロメテウスの灯を求めて(Message in a Bottle)」他)
-----参考文献-----
Lebowitz,Adam Bonchune,Robert.STAR TREK STARSHIP SPOTTERSTAR TREK, 2001.