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STAR TREK:THE MOTION PICTURE SERIESスター・トレック:劇場版

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スター・トレックIII:ミスター・スポックを探せ!

STAR TREK III
THE SEARCH FOR SPOCK

スター・トレックIII
ミスター・スポックを探せ!

公開年:1984
監督:レナード・ニモイ(スポック)
出演者:
ウィリアム・シャトナー
レナード・ニモイ
デフォレスト・ケリー
クリストファー・ロイド
ロビン・カーティス

―――作品の見どころ―――

『スター・トレックIII ミスター・スポックを探せ!』(以下、「探せ!」)の見どころは、と言われると非常に難しい。まず、スポックことレナード・ニモイが監督を担当したことは触れておかねばならないだろう。

ニモイの監督起用はニモイの出演条件でもあったようだ。前作を監督したニコラス・メイヤーが「スポックが生き返る」というストーリーに難色を示し、当初からオファーを辞退していたため、ニモイ監督誕生は案外すんなりいったようである。

作品としては全体的に抑制的で、新鋭艦エクセルシオール号や、若きスポックのポンファーや、エンタープライズ号の自沈などインパクトのあるシーンはあるのだが、ストーリーの展開自体は平坦であるということは否めない。

―――デビット・マーカスの死とエンタープライズ号の破壊―――

「探せ!」には二つの重要な喪失が描かれている。まずひとつはカークの息子、デビットマーカスの死だ。正直なところこの作品においてのみいえば、非常にあっさりとシーンでわざわざ入れる必要があったのかいささか疑問に思うシーンではある。シーン自体妙にあっさりした演出で、クライマックスで カークがクリンゴン館長を蹴落とすという衝撃的なシーンの動機付けだけという意味しか持っていない要素のように思える。ただ、シリーズ全体を通してみれば、これがカークのクリンゴンに対する悪感情を確定させたという意味において非常に重要なシーンとなり、VIにおけるカークの心情を描写するうえで絶対不可欠な物となったことは間違いない。

もう一つはエンタープライズ号の喪失である。長年活躍してきたエンタープライズ号が惑星ジェネシスの大気圏で燃え尽きるさまはファンにとってもショッキングだったろう。カークたちの喪失感を観客が共有するには確かに効果的な処置だった。

しかしながら、カークが失ったものはあまりにも重く多かったように思う。艦隊士官としての立場を失い、息子を失い、エンタープライズをも失った。その中で唯一の救いはスポックが蘇ったことだ。その対価が重いかどうかはカークの心情しだいだが、この映画はとにかカークが色々と失うシーンが多い。結局それがこの作品全般に漂う暗さを助長し、必要以上に重苦しい印象を残す結果となった。

―――総評―――

「探せ!」は評価が難しい作品だ。II、III、IVが結果的に三部作になったため、「探せ!」は“繋ぎ”にあたり展開が平坦になってしまうのも無理はないと言える。もちろん、映画監督初挑戦のニモイの経験不足も考慮に入れなければならないだろう。

正直なところ、あらすじさえ分かればこの作品は観なくてもいいかもしれない。ただ、II、IVは非常に出来がいいため、この「探せ!」を含めた三部作はぜひまとめてご覧になっていただきたいところだ。少なくとも本作は駄作ではない。


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