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スター・トレックV
新たなる未知へ

※以下では『スター・トレックV 新たなる未知へ』のネタバレ要素を含んでいます。閲覧の際はご注意ください

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―――作品の見どころ―――

『スター・トレックV 新たなる未知へ』(以下、「新たなる未知へ」)ではウィリアム・シャトナーカーク)が監督を務めた。サブタイトル"THE FINAL FRONTIER"からも分かるように当初は完結編として制作されていた。
 この物語では、宿敵クリンゴン帝国ロミュラン帝国との和平の可能性が示され、カークと対決するのは銀河の中心にいる“神”と完結編にふさわしい内容になっている。

 また、今回の事件の首謀者としてスポックの兄サイボックが登場する。

―――低予算との戦い―――

 「未知の世界」は特撮の質が非常に低いことで知られている。その出来は当時TV放映されていた『新スター・トレック』にすら劣るのではないかと言われるほどのレベルであった。
 これは「カーンの逆襲」以来、スター・トレックの劇場版は比較的低予算で作られていることが大本の原因としてあり、さらに前作のヒットによって人件費が高くなってしまい特撮にかける予算を回せなかったことが原因であると言われている。そのため従来のILM(Industrial Light & Magic)へ特撮を発注することができなかった。

―――シャトナー監督の手腕―――

 上述にあるように特撮の質は大分劣る本作であるが、その他の部分はどうだったろうか?少なくとも演出面においてはシャトナーは及第点には達していたように思える。冒頭の砂漠のシーンの長回し(カットせずに長い間カメラを回し続ける映画の技法)や、終盤の舞台劇を思わせるサイボックの洗脳シーンなどは映像として面白い。特にパラダイスシティのアクションシーンなどは馬を有効に使い(乗馬はシャトナーの趣味であり得意分野でもある)、スピード感のある素晴らしい映像に仕上げている。
 しかし、ストーリーに関しては、宇宙の中心にある神の星へ行くというのは、いかにも大雑把な話である気がする。話の肝である“神”の正体もまた拍子抜けするもので尻すぼみ感は否めない。サイボックのような魅力的なキャラクターを生み出したにもかかわらず、大味なストーリーでその魅力を生かしきれなかったというのは残念だ。
 その他、少々おちゃらけ過ぎた部分があるのも気になる点である。

 ただ、本作の不満点に関しては少々考慮しなければならない点がいくつかある。一つは上述の低予算によりシャトナーが思うような映像に仕上げることができなかったことだ。さらに前作のコメディ路線で成功したことでパラマウント社側が本作も同じようにコメディを豊富に織り込むことを求めるなどの干渉があった(もっとも、冗談だったウフーラの裸踊りを提案を「いいね!」と採用したのはシャトナー自身だが)ことも影響している。もしシャトナーが当初思い描いていた通りに制作されていたらどうなっていたか…大いに興味をひかれるところである。

―――神との対決―――

 もうひとつ、本作で取り上げねばならないことは作品のテーマの中に「カークと神との対決」というものがあることだ。『スター・トレック』シリーズにおいて神とは何かというテーマは大きな意味を持っている。
 TMPが制作される以前、幻の劇場作品として「The God Things」があるが、これは“神の正体”に迫る作品であったのだが、結局、“神”というデリケートな問題に触れる本作はお蔵入りになってしまった。それから約15年を経て、“神”に迫る作品が作られたことは興味深いことだ。
 しかしながら、「The God Things」を創作したシリーズの生みの親であるジーン・ロッデンベリーは“神”をテーマに持ってくることに関して危惧を抱いていた。その危惧は半ば的中しており、当初シャトナーが想定していた「銀河の中心にいる神の正体は実は悪魔だった」という内容はダメ出しされ、神の正体はただのエイリアンということになり、テーマ的には半端な作品になってしまった。

 “神との対決”は『スター・トレック』シリーズにおいて鬼門なのかもしれない。

―――総評―――

 以上を見ても分かる通り、この作品の評価は決して高くない。しかし、シャトナーは『宇宙大作戦』以来培われてきた各キャラクターの魅力というのを引き出すことに関しては成功していたと言えるだろう。惜しむらくは、それをうまく生かすだけの映像とストーリーに恵まれなかったことだ。
 また、この作品に登場する敵役サイボックはTMPのヴィジャー同様「脅威ではあるが敵ではない」という点で非常に魅力的なキャラクターだ。ストーリーの方向性もTMPと同じような「神とは何者なのか」という、どちらかと言えばという哲学的なテーマが根幹にある。『スター・トレック』がただの宇宙戦争ものではないということをアピールしたことは注目すべきことだろう。
 この作品は駄作というよりも未完成品といった感じだ。問題は作品全体の完成度の低さにある。本作は絶対的につまらないということはないことを指摘しておこう。

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