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スター・トレックIV
故郷への長い道

※以下では『スター・トレックIV 故郷への長い道』のネタバレ要素を含んでいます。閲覧の際はご注意ください

スタートレック 4 故郷への長い道  オリジナル ポスター

―――作品の見どころ―――

『スター・トレックIV 故郷への長い道』(以下、「故郷への長い道」)の見どころは、前作に引き続き監督を担当したレナード・ニモイスポック)のいい意味で力の抜けた軽妙かつコミカルなストーリー展開だ。

 23世紀にはすでに絶滅してしたザトウクジラとの交信のためやってきた謎の探査機が放つ強力な探査波のせいで大気がイオン化するという未曽有の危機に陥った地球を救うべく、20世紀の世界にやってきたカーク提督達の奮闘ぶりを実に面白く描いている。

―――さりげないラフな展開―――

 前作ではそつのない監督ぶりを披露したニモイであるが、本作では色々と表現がラフだ。代表的なシーンとしてマッコイスコッティが鯨を運ぶための強化ガラスを手に入れるためにガラス工場へ行き、代価として透明アルミの製法を教えてしまうというシーンが挙げられる。
 さりげないシーンだが、このシーンにはいろいろ問題がある。まず、当時は未知の技術であった透明アルミの製法を教えてしまうことで未来を変えてしまうという懸念が生まれる。これに関してはマッコイもスコッティに釘を刺しているが、スコッティは「どうせ彼が開発するんだからいいだろう」(工場の科学者ニコルズ博士は透明アルミの開発者だった)とこともなげに答えている。
 さらに、透明アルミの製法を教えたのがスコッティであるのならば、その数式は一体どこから来たのか?という、ごくありふれたタイムパラドクスが生じるが、これには触れないままさらっと流してしまった。
 その他、マッコイは人工透析を行っている患者に23世紀の薬を渡したちどころに治してしまうなど、やはり問題のある行動を起こしている。しかし、そのことを考える間もなく次の展開へめまぐるしく遷移するため(このような小気味のよいテンポの速さは本作の特徴でもある)、これも流されてしまった。

 上記のマッコイの行動に関することだが、『スター・トレック』では目の前に助けられる命があるなら何が何でも助ける、ということが必ずしも正しいとは表現されていない。例えばTOS第28話「危険な過去への旅」などはその好例だ。
 ただ、『スター・トレック』の大きなテーマの一つは「楽観的で善良な未来像の表現」であると言われている。現代人が未来の世界にほんの少しだけ触れて、小さな幸せを得る―――というのはやはり希望がある。また、それは『スター・トレック』を観ることにより楽しみを得る我々の姿と実は重なっていると言えるのかもしれない。

―――鯨と日本―――

 この作品にはあまり好意的ではない見方もある。反捕鯨をテーマにしたため日本批判の映画ととらえられてしまうのである。
 反捕鯨=日本批判という見方は、現在でも某環境保護団体の過激な活動もあって根強い。本作の上映当時の80年代はさらに日米は貿易摩擦という問題を抱えていたためさらにそういう見方は強かった。
 もちろん、そういう側面があるのはある程度事実なのであろうが、出来ればそういう先入観は外してご覧になっていただきたい。本作はシリーズの中でも最も楽しく明るい雰囲気の作品だ。現実の問題とは切り離して、肩の力を抜いて気楽に楽しむことをお勧めしたい。

―――総評―――

 「故郷への長い道」はTOS劇場版の中で2009年版を除き最もヒットした作品である。当時話題になりつつあった環境問題を主軸においたストーリーや、上述の通りのコミカルな展開は大いにウケた。シリーズ初心者の方にも安心して進められる作品だ。ただし、捕鯨関係者の方にはあまりお勧めできないが…
 ただこの「故郷への長い道」は単体で観るよりII、III、そして本作の三部作セットで観た方がより楽しめるだろう。カークやスポックたちの本来のキャラクターを知っておくことによってさらにこの作品の可笑しさというものが分かるはずだ。

カーク「スポック、この映画は面白いんだな?」

スポック「あたぼうよ

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